PYP Exhibition 初めてのエキシビション

3月19日土曜日。
この日は、静岡サレジオ小学校にとって、PYP校としての新たな歴史の第一歩となりました。
認定校になってから、コロナウイルスの影響でなかなか本格的な実施ができなかったエキシビション。
ついに、子供たち、教師、そして保護者の皆様で4年生の学びをお祝いする会を開くことができたのです。

ここまで3ヵ月、子供たちはエキシビションに向けて、本当によく頑張って準備をしてきました。
そして、先生たちもメンターとして、全ての子供たちを支え、共に学んできました。
さらに、保護者の皆様も、本気で子供たちの学びに関わり、学習者として共に学んできました。
その結晶としての成果を発表する日です。

前日18日は修了式。その合間に準備を進めます。
本来は3月5日に実施予定でしたが、コロナの影響で延期に次ぐ延期となり、最終的に修了式後に実施となりました。
高ぶる気持ちをおさえながら、子供たちも先生も、自分たちのエキシビションを作り上げるために準備をします。
プライマリー棟全ての場所を使って実施するため、先生たちも総出で準備を行います。

徐々に、特別な一日のための準備が整っていきました。
それと同時に、緊張と期待が入り混じった感覚に包まれていきます。
普段は子供たちの作品が映っているモニターも、この日だけの4年生の学びのプロセスの画像に変更です。
本当に4年生にとって特別な1日。
すばらしい1日になることを期待しながら、下校していきました。

いよいよ、エキシビション当日。
朝から、緊張した面持ちで子供たちが登校してきました。
「調子はどう?」
「ばっちりです!」

朝の挨拶もそこそこに、発表の準備を始めます。
飾りや掲示物の確認をしたり、発表場所を準備したり、メンターの先生と発表の最後の練習をしたり。
子ども達は、この緊張を楽しむかのように準備をしていましたが、私たち教員のドキドキはどんどん高まっていきました。
担任の先生と最後の確認をし、いよいよオープニングの会場に向かいます。
本来であれば、この会場に保護者の皆様と教員が全員集まってスタートのはずだったのですが、
コロナ渦の状況ではそれ叶わず、児童のみが会場に入り、保護者の皆様には各教室のモニターを通してオープニングの様子を見ていただきました。
ひとりずつ入場して、開会宣言。
その後、録画となってしまいましたが歌の発表を行いました。
そして、
ひとりずつ自分のセントラルアイディアと発表場所を伝えて、会場へと向かいます。
さあ、いよいよ個人プレゼンテーションのスタートです。
いろいろな場所で、子供たちのプレゼンテーションが行われます。
自分の調べたこと、わかったこと、概念として理解したことを、はっきりと伝えます。
そして、セントラルアイディアに対し、どのような結論が出たのか、自分たちができることは何なのかを述べていきます。
今まで練習してきたことをすべて出し切って、堂々とした態度でみんなプレゼンを行っていました。

保護者の皆さんも、一人ひとりのプレゼンを本当に真剣に聞いてくださいました。
保護者の方からは、
「本当に自分で調べたの?」
「なぜそのテーマを設定しようと思ったの?」
「どうしてその資料を使うことにしたの?」
「私たちは、地球のためにどんなことができるの?」
といった質問が投げかけられます。
保護者の方からの質問にも、子供たちは、自分の学んだことを使って一生懸命答えていました。
時間のある限り、たくさんの児童のプレゼンを聞いていただき、フィードバックをいただきました。
子どもたちも回数を重ねるごとに、どんどんプレゼンが上手になっていきました。
プレゼンテーションの時間があっという間に過ぎ、クロージングの時間になりました。
クロージングでは、校長先生から一人ひとりにPYP修了証書が手渡されました。
修了証書をいただいた子供たちは、今度は一緒にPYPの学びを支えてくれた保護者の皆様のもとに移動です。
はじめに、3人の担任の先生から、子供たちに向けて感謝のメッセージが送られました。
その後、子供たちは今まで共に学び支えてくれたことを手紙にして、感謝と共に保護者に渡しました。
PYPの学びは、子供達、教師、そして保護者のコミュニティーによって成り立っているのだということを改めて実感しました。
最後は、担任の先生たちがひそかに作っていた、プライマリーでの学びを振り返る動画を保護者の皆さんと一緒に見て、プライマリーステージでの4年間の思い出に浸っていました。
子どもたちも、保護者の皆様も、この4年間の成長を共に喜ぶことができました。
閉会の挨拶も、モニターでということになりましたが、期待と緊張にあふれた半日が終了しました。
一番近くで支えてきた担任の先生たちの目には、涙があふれていました。

ガイドラインに沿って行った初めてのPYP Exhibition。
また、本校は4年生がPYP最終学年となることから、4年生でどれだけのことができるのだろう、どれだけのことをさせてあげられるのだろうという不安で始まったエキシビションでした。
子どもたちも、先生たちも、本当に忙しい3ヵ月を過ごしてきました。
さらに、2週間前、ここまでがんばってきた発表の機会が延期される事態に。
しかし、子供たちのモチベーションは下がるどころか、もっと良い発表にしできるというポジティブなものになっていきました。
私達教員も、その思いにこたえるべく、できる限りの準備を進めてきました。
そして、保護者の皆様は、突然のスケジュール変更にもかかわらず、ご理解とご協力をいただき、最後まで子供たちのPYPの学びを支えてくださいました。
結果、本当に素晴らしいPYPエキシビションとなりました。
これは、私たちの予想をはるかに超え、子どもたち一人ひとりのすばらしさを本当に感じることができました。

初めての本格的なPYP Exhibition。
この日の子供たちの姿から、PYPの学びのすばらしさ、有効性を改めて確認できました。
PYPの学びは、今、そしてこれからの世の中を生きる子供たちにとって、必要な知識やスキルを身につけ、それを適切に活用したり転移したりする力を身につけることのできる学び方です。
そして、それを作り上げていくのは、子供たち、教師、そして保護者の皆様のコミュニティーであり、私たちすべてが学習者であるのです。

本当に素晴らしい1日となりました。
子どもたちが下校した後、私たちも簡単に反省を持ちましたが、子供たちのすばらしさ以外に感想が出てきませんでした。

先生たちで、すぐに片づけをする予定になっていたのですが、
みんな、この素晴らしい1日の余韻に浸っていたくなり、片づけは週明けでということになりました。